生ノ物【ヒト】

イエローイエロー

キイロをやってる人がいる と はじめてyellow yellowのことを聞かされたのはBARのカウンターだった。

キイロをやってる人??と思わず聞き返した。聞き返さずにいられない、多分ほとんどの人がその反応になりますよ。なんで黄色? からはじまり、ふわっとした黄色い話題が転がり出す。もう面白いでしょ。そして強く印象に残ってしまう。これはYellowYellowの術中にはまったな、、と思ったのを憶えている。
まもなくそのBARでたまたま隣り合わせになる機会があり、酒を飲みながらつかのま楽しく黄色談義をした、、それが十数年前。
その後ばったり会ったりすることは何度か、、次第にTVやラジオなどのメディアに登場しているのを見かける機会も増えた。
黄色に特化したブランディングデザインスタジオを主宰する人
(個人的に彼のことをイエロ-と呼ぶのに馴染んでしまっている為アシカラズ親しみを込めて以下呼称をイエローと簡略化させてください)

そんなイエローが


青山ファーマーズマーケットで、不要な黄色いものを持ってきてもらい黄色くない私物と交換する黄色交換会というのをやっているというので、溜まった黄色いものをかき集めて行ってみたのが去年のクリスマスの頃。
かき集めたモノの中には、例えば使い捨ての黄色いプラスティックのスプーンだったりマスタードのパッケージだったりいわゆるゴミに分類されるものもある。そもそもなぜそんなモノが取ってあったかというと、海外に行った時などにこれはイエローに持っていったら(見せたら)喜ぶだろうと黄色いものを見るたびに思い出している自分がいて、いつか会った時に渡そうと思って持ち帰ったまま何年も引き出しで待機していたものが結構あった訳です。そんなわけで久々に会って積年を経てやっと渡せた黄色いブツを見ながら再び黄色の話をしていたら、やはり随分楽しかったので、ここらで一回腰を据えてキイロの話をしておきたいと、ポッドキャストのゲストとして出演をオファーしたのが今回のタイミングでした。
何を隠そう自分も一時期黄色にハマって全身黄色いファッションをしていた時期があったくらいで、黄色に惹かれやすい体質だとは自覚していたんだけれども、そこまでの人でなくとも黄色と言う色になにかしら感じる人は少なからずいて、イエローと話していると黄色について興味が芽生え、ついつい世間に溢れる黄色が気(キ)になってしまう、そういう効果はあるような気(キ)がします。黄色という色が媒体として作用して景色の見え方が変わってくるわけです。
かくしてあちこちにイエロー・サンプリング・リサーチャー(イエローの代わりに黄色の標本採集をする人達)が既に相当数誕生しているんじゃないだろうかと想像するに難くないのです。
当日献上した黄色いブツ

京都の地町に拠点を構えてからは家野淳という和名も使っているとのこと。
いえのさんと呼ばれた時に母音の響きで初対面の人でも空耳でイエローさんと聴こえるように考えた名前だそうだ。

対談はとにかくキイロづくしの会話でした。
恒例の質問コーナーではレギュラーの20問の中からいくつかを差し替えて答えてもらいましたが
今回特にイエローに聞きたいと思って加えたアートの役割とは?という質問に関しては
一人一人がアートの定義を明確にした方がいいかなって思って、、そうしないとお前のはアートじゃねえみたいな変な話になっちゃって、、」という前置きから「前線にいって新しい絵を見せてくれるような、もしくは既存のものを破壊して新しい絵、つまり思想も含めてヴィジョンを見せてくれるのがアートなのかなって、そういう意味では観たことあるようなもののブラッシュアップではなくて、なんか全く観たことのない世界みたいなものを見ると僕はアート性を感じる..」と 明快な答えが返ってきました。さらには創造・新生のために破壊があるという前提で
黄色く壊すという概念について語ってくれました。赤い破壊や、黒い破壊ではなく黄色く破壊する。「新しい創造のために黄色く破壊してあげるみたいな、、破壊ですからショックではあるんですがショックが次に進むために必要なのかなって、、」

きいろくこわす
はなかなかのキラー・ワードだったのでポッドキャストのタイトルになりました。

黄色いものを花器に見立てて造花を活けた展示作品
対談にあたって黄色についてリサーチしたところ「黃」という漢字の起源がであることや、黄色い花が黄泉の国に通ずるといわれていることなどを知ったわけですが、中国の五行説では黄色は中心の色と言われているそうです。東は青龍(青・緑)、西は白虎(白)、南は朱雀(赤)、北は玄武(黒)という四神に守られた方角の真ん中に黄色が配置されています。例えば、相撲の土俵の上の釣り天井の東西南北には青・白・赤・黒の大きな房が吊るされています。

黄色という色をまさしく中心に据え、それ自体革新的なコンセプトによってイエロー自身がブランディングに成功しているというのも理にかなっている気(キ)がしてくるわけです。

コレクターとしての側面、現代美術家としての側面と多岐にわたる活動のすべてはワンカラーデザインスタジオを成立させる行いだという。
徹底して黄色にこだわることは一見視野を狭くしているように見えて、実は確実に世界を拡げていくことであるように見える。
それは常々感じている一つのことをより深く知ることは世界をよく知ることでもあるということと通ずる。13年間、黄色一筋で生きているイエロー自身が端的ににそれを証明しているのではないだろうか。

膨大なコレクションの一部

自ら初期設定をすることで世界の見え方が変わってくる、ライフが回り始める、、
誰の日常にもそんな要素やテーマが転がっているのでは? と 改めて思える対談でした。ある人にとっては石だったり、Zineだったり、服だったり、わさびだったり、カレーだったり、紙だったり、漢方だったり、治すことだったり、映画だったり、建築だったり、ダンスだったり、野草だったり、、
各々が見つけたそれぞれのJOYは人を愛する為の学びのツールのようにも思えます。 そのツールの中(外?)には例外なく色という要素があり
色の中にも無限の情報が含まれている これはじつに面白い発見です。

インタビュー冒頭で語られる黄色をやり始めたきっかけについても
黒いブルーだったイエローが黄色を始めてハッピーになった。という一見シンプルな物語ですが
黄色という色の不思議な力を示す象徴的なエピソードだとおもうわけです。ここでは自然とそうなったというのがポイントのような気(キ)がしている。はたして、イエローが黄色を選んだのか 黄色がイエローを選んだのか?
その命題については本人も判らないのかもしれない。
ただ

インタヴュー当日に渡した黄色いブツで作品のテーマである造花を活ける器を構成するイエローイエロー

イエローと話している限りではまだまだまだまだ黄色で楽しめそうだし、黄色案件には伸びしろがあるなという感じしかなくて、デザインにもまだまだやれることはあるんだろうと感じさせる家野淳a.k.aイエローイエローはやっぱり生粋のデザイナーで、そんな彼が世界を見る基準として選んだのが黄色だった事を考える時、黄色にはやっぱりなにかしら不思議な力とか希望という要素があるんではないだろうか、と感じる、そんな春です。

◆個展情報
YellowShowYellow

2023年3月3日〜3月30日
東京タワーを借景にした会員制サロン[バー+ギャラリー]Temporary Orbitにて
※期間3月の毎週土日 [15時-19時]

◆関連URL
https://www.yellowlovesme.com/
https://www.facebook.com/yelowyelowyelow
instagram: https://www.instagram.com/yeilowyeilow/?hl=ja
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NUN podcast #17
きいろくこわす
ゲスト: イエローイエロー

【前編 / 55:42】


【後編 / 73:32】



収録:2023年2月23日 @表参道某所
ナビゲータ: イタミヒロシ

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イエローイエロー

ブランディング デザイナー

会津生まれ。横浜育ち。
二十代より、外資系デザインスタジオにて化粧品などのパッケージや広告のデザインに携わる。
独立後、デザイン事務所を東京青山、赤坂で主宰。リッツカールトンホテル東京、JFW 東京コレクション、内閣総理大臣などのデザインプロジェクトを幅広く担当。
その後、世界的な例がないと言われてる、”一つの色”に特化したブランディングデザインスタジオを主宰。カステラのブランディング、バナナ会社のロゴマーク、牡丹関連などを手掛ける。現在、奈良県橿原市の地黄町にメインスタジオを構える。
同時に美術館やギャラリーでの個展や展覧会でも作品を発表することは全てワンカラーデザインスタジオを成立させるための行いである。アートをデザインした、はじめての人でないかと表現された言葉の真意を現在模索してる。