生ノ物【ヒト】

鈴木ユキオ

時は流れカラダは巡る

身体の重心の置き方や動きの軌道、質感が、これほどまでに変化したダンサーは見たことがない。
25年ほど前に出会った硬質でごつごつと無骨で顔の表情も一定な・・・。
そのいわゆる不器用なカラダは、今や、どこにもない。
軽くしなやかでのびやかでさえあり、ふわふわと重力を感じさせない時間もある。

自分と向き合い、観察し、刻々とした変化を見続けられること。
自分の弱みを見つけては強みに逆転すべく、カラダと遊びながらトライアンドエラーで改善を試みる。
この濃密な練度のプロセスが鈴木ユキオの一番の特徴である。
そして、ひたすら謙虚でフラットでやさしい。これも誰にもマネできない大きな特徴。
ダンスが出自ではないがゆえに、下手くそであったがゆえに、
他人と同じ目線で接し、下手くそを許し、感動し、逆に学びさえしてしまう。

世界中どこ行っても、都市でも田舎でも大自然でも変わらない。
万物と接する際の、柔軟性と包容力のあるスタンス。
きっと踊るカミサマは、こんなカラダに宿っている。

by G
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NUN podcast #4 「時は流れカラダは巡る」
ゲスト: 鈴木ユキオさん

国内外で公演やワークショップ等、振付家 / ダンサーとして精力的な活動を続ける鈴木ユキオさん。舞踏やさまざまなダンスを経験することで得た、身体表現についての鈴木さんならではの考えやダンス作品をめぐる数え切れないエピソードなどなど、フラットにゆるやかに暖話。音声メディアだからこその意外な一面が垣間見れるかも?・・です。全3回 約108分。

第一回
アングラ演劇から前衛舞踏の道へ。アスベスト館での刺激的な日々。
90年代、多種多様な舞踏系カンパニーの作品から学んだこと。
自身のカンパニー設立、コンテンポラリーダンスの世界へ。
2度のトヨタ・コレオグラフィーアワードの受賞。
特権的肉体 室伏鴻さんとの出会い。
舞踏的なものへの回帰。舞踏とはダンスとは。
自分だけのカラダのポジショニングの確立するために。
2022年3月 舞踏のオリジネイター土方巽の名作「病める舞姫」を踊ってみて、、
(約41分)


第二回
YUKIO SUZUKI projectsとしてのさまざま活動。
数ある海外公演の中から、インドとチェコでのエピソード。
「そのカラダでいいんだよ」子どもも大人も安心して入り込めるワークショップ活動。
約30年のダンサー生活を振り返って。時代とともに変化する心と身体。
フロリダに1ヶ月滞在で制作した映像作品「cross polination」について。大自然を舞台にしたダンス。
(約37分)



第三回
ゆたかな自然環境に拠点を置いたクリエイション。
生活のすべてを受け入れ、ハプニングを楽しみ、自分の感覚を取り戻せる場所。
作品づくりで大事にしていること。
ダンスはメロディ・・・?
からだの探求とテーマが合致したとき強いものがうまれる。
「なぜ踊るのか・・」
居ていい場所があるんだ。
その場所が、たまたま舞踏であっただけ。
人生を救ってもらった舞踏との思いがけぬ出会いへ感謝。
「いつのまにか心を踊らせ、自分にしかない感覚で動けてしまっている…」
ワークショップであらためて参加者から学ぶ、ダンスの根本的意義と魅力と感動。
(約30分)



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○関連リンク YUKIO SUZUKI projects ◇website: http://www.suzu3.com/ ◇facebook: https://www.facebook.com/YukioSuzuki.company/ ◇Instagram: https://www.instagram.com/yukiosuzuki_projects/ ◇Twitter: https://twitter.com/suzukingyo

鈴木ユキオ (すずき ゆきお)

振付家/ダンサー

鈴木ユキオ  「YUKIO SUZUKI projects」代表/振付家・ダンサー
世界40都市を超える地域で活動を展開し、しなやかで繊細に、かつ空間からはみだすような強靭な身体・ダンスは、多くの観客を魅了している。‘08年に「トヨタコレオグラフィーアワード」にて「次代を担う振付家賞(グランプリ)」を受賞。’12年フランス・パリ市立劇場「Danse Elargie」では10組のファイナリストに選ばれた。