生ノ態【コト】

時々ボタニカル 03 【夏編】

猛暑と防災植物とドグダミと

今年の夏はとにかく暑い。。年々暑さがエスカレートしている気がします。帯広にいる友人からは「最高気温が36℃までいったよ」と驚きのメールが来ました。地球はこの先どうなっちゃうのでしょうね!

暑さに参っているのは人間だけではありません。自生する防災植物(道端に生えている食べられる野草)にとっても、真夏は厳しい時期です。暑さと共に気をつけなければいけないのが紫外線対策、いまでは化粧品はもちろん、服や帽子、車の窓あらゆるところでUV加工が施されていますが、実は植物にとっても紫外線は敵。紫外線を浴びることでストレスを感じています。そのストレスから自分の身を守ろうとして体内で作り出される化学物質が「フィトケミカル」(phyto=植物、chemical=化学物質)です。このフィトケミカルは、苦味、渋み、辛味、香り、色素などの成分で出来ているのですが、例えばアントシアニン、カテキン、ルテイン、リコピンなどは聞いたことがあるのではないでしょうか。未発見のものも含めるとフィトケミカルは数万種もあるとも言われますが、抗酸化作用をはじめとした様々な働きがあり、私たちの健康に有用であることがわかっています。
つまりこの紫外線が多く暑い時期、防災植物は物凄いストレスを感じてフィトケミカルを出しまくり、苦味がマシマシ。そして水分不足で葉や茎は硬くなっている。私たちの健康にはとっては有用でも、決して美味しいとは言えないのです。


*茎が細く硬くなってしまっているシロツメクサ


*茎がふっくらとしたシロツメクサ

それでもWSの依頼や毎月のカフェ営業があります。そんな時は紫外線の影響が比較的少ない、日陰に生えている防災植物を探していきます。


*マルバツユクサ


*イノコヅチ


*オオバコ

調理法でカバーすることもあります。苦味が強い場合は天ぷらが一番です。しかし天ぷらは「衣をつけて蒸す」という調理法なので、植物自体に水分が少なくなっていると、硬い食感が残ってしまうことがあるので注意してください。食感も味わいの大切な要素ですね。

話は変わりますが、巷では「ドクダミ」に興味を持つ人が急増中。そのきっかけは、NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」の中で、若き日の牧野富太郎博士(万太郎)が「ドクダミは万病に効くんだ」と干してお茶にしていたことによります。「お茶以外に活用法はないか」と質問されることも多いのですが、ドクダミといえばあの独特の香りが特徴、好き嫌いが大きく分かれる植物ですね。やはりおすすめの美味しい食べ方は天ぷらです。揚げることであの香りが和らぎ、油の香ばしさが加わるとまた違う風味になります。
以前よりベトナムではフォーの薬味にしたり、生春巻きの具に混ぜたりすると聞いていましたので、最近私は生での活用に挑戦しています。試しながらわかったことは、「強烈なのは香りであり、苦味ではない」ということ。苦味でいえばヨモギの方がよっぽど食べにくいです。先月の「四万十ふれーばー*ボウサイショクブツカフェ」では、ドライカレーに添えて提供しましたが、食べたほとんどの人が「結構いけるね!」と言っていました。食材との組み合わせではパクチーのような風味を感じられます。パクチー好きな方は是非試してみてください。

ドクダミの名前の由来は、「毒を出す」。漢方では「十薬(じゅうやく)」の呼び名で、十の薬効があるといわれる優れた薬草なのです。蓄膿症には生葉を鼻に詰める、水虫には黒く焼いたものを貼り付けるといった民間療法もあります。栄養素としてはビタミンAが豊富に含まれていますので、生食すればきっと身体にも良いでしょう。皆さんもぜひ生食に挑戦してみてください。またこれは!という食べ方がありましたら、ぜひ教えていただきたいです。

by 齊藤 香織
日本防災植物協会事務局長、日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ上級プロ、株式会社しまんと流域野菜代表取締役

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しまんとフレーバー*ボウサイショクブツカフェ

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