生ノ物【ヒト】

k.fabriek.kaise

プラバンの魔術師

ちーん…!
小気味良い音が鳴るやいなやトースターの扉をがしゃんとオーペン!
秒も待たずに、たちまちkaiseさんの錬プラ術がはじまる。
グネグネやわらかくなったプラバンを取り出すやいなや無言で器用にコネコネコネコネ。。
いつのまにやら、毎日食卓で目にするモノがそこに現れた。

長ネギ・・・疑いもない長ネギ・・・
先端が緑で先が二つに分かれた立派な白長ネギ。

どうやらプラバン制作には、イメージだけでなく、それを実現するための手先の直感と妙が大切らしい。プラバンは熱いうちに造形せよ。

(今回のポッドキャストはプラバン作品実況中継ぽくやっておりますのでどうぞお聴きください)

え?これプラバンなの?
事業所 TENTONEには、あらゆる種類の興味深いプラバン作品が並んでいる。

美少女水筒、大盛ゲソあげ、つるぴかり(米袋)、エロースハム、大谷口翔平、おどりますブザー、ぼちぼち焼き、スキャンダラスハム、パープペーコン、、、、

作品自体も緻密によくできてるのだが、ネーミング(商品名?)がとにかくあっぱれ参りましたの域。
どれもこれも日常の中にありふれたものから発想されており、こういうまなざしをもって暮らしたら毎日面白いだろうなって。

kaiseさんどうやら、その昔コピーライターを目指していたとのことで少し納得。kaiseさんにとってはプラバン作品自体がメディア=表現媒体なんでしょうね。きっと。

プラバンに話を戻すと(あ、戻ってないですね…)、面白い決めワードにあふれるkaiseさんの作品ですが、よく考えてみてくださいな。プラバンてトースター入れると1/5に縮まるんですよ。そこの旦那。どうやって、あんな小っこい文字や細かい模様を入れてるのか?
インスタントラーメンの成分表とか、パックハムのリアルな色とか形とか本当細かいんですから。

そこでkaiseさんが取り出してきたのは作品の設計がびっしり描かれたスケッチブック。
正確な線が引かれた展開図とか寸法が細かく入った見取り図とか。作品ひとつずつありました。
kaiseさんいわく瞬時に固まってしまうプラバンから具象のフォルムをつくるには前もって緻密にサイズや縮尺計算しないとならないのこと。なるほど。。
といってもですよ。1/5に縮まった時のサイズ感や色の出方、素材のとろけ方を読むには長い経験と熟練の技が必要に決まってますよ。素人じゃシュミレーション不可。

と言ってる間に、トースターに次々プラバンを放り込んでは取り出し、ああでもないこうでもないつぶやきながらトライアンドエラーする姿はステキすぎる。
基本的におおらかで明るいkaiseさん。小気味いいテンションでわれわれにしゃべりつづけてくれている。この大胆なリズムとナイススピリッツが、あのような賑やかに語りかけるように作風をうむのですね。

それと絵も痛快なんです。線がスパッと太くて明快。心地いい&迷いのないタッチ。
僕がゲソあげキーホルダー購入したときに、その場で袋に描いてくれたニワトリなんて最高に元気出ますよ。こけこっこー鳴きそうで。本当に。
とにかく目の前の霞をぶわっと吹き飛ばして元気をくれる人。

「アートは自由。私も自由。」
「プラバンで世界を元気にできたら。」

僕はこれから先も人生に迷ったらkaiseさんにお願いしてとなりで怒られながらプラバンを焼かせてもらいたいと思う。
ものをつくる瞬発力と語りかける賑やかな作品とともに思いっきり気持ちを解き放ちたいと思う。

by G

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NUN NUN podcast#25
「プラバンの魔術師」  ゲスト:k.fabriek.kaise

ナビゲーター:清水博志
【収録時間 :106 分】
2024.12.2  ものづくり x 就労支援B型事業所 TENTONEにて収録

k.fabriek.kaise(ケイ ファブリーク カイセ)

東京都出身。広告・出版・福祉系を経て、ものづくりの道へ進み、立体プラ板と出会う。
人を笑わせるのが好きな、お節介料理おばさん。得意料理は『鶏レバーの甘辛煮』。