時々ボタニカル。。01【冬編】
12月の野草のカフェや野菜の仕事や四万十暮らし
「食べられる野草」のカフェを高知県四万十市でやっています。
カフェの名前は「四万十ふれーばー*ボウサイショクブツカフェ」。営業日は毎月第3週の土日のみ。月に二日しか営業していないので地元の人から「やる気があるのか!」とお叱りを受けることもしばしばですが、至ってまじめにやっています。野草は野菜と違い八百屋さんやスーパーで買うことができません。毎月旬の野草を探し、採集し、きれいに洗って美味しく食べられる部分を選ぶ。そしてメニューを考え調理してお客様にサーブする。なかなか手間と時間がかかることで、毎日営業するのが難しいのです。
このカフェの営業以外は、有機野菜を栽培し東京をはじめとした首都圏へ販売をする会社をやっています。私は東京から四万十にIターンした移住者で、こちらに来て早くも10年が経とうとしています。みなさんはきっと「四万十の田舎でゆったりゆっくりと生活を送っているだろう」と思われるのでしょうが、自分でも呆れるほどウロウロと慌ただしい日々を送っています。
正直疲れたなーと思うことも多いのですが、それでも続けてられているのは、日々野草や野菜などの植物に接しているからだと思います。私の通勤は車で片道1時間かかることもザラです。運転しながら目に映る風景は(最後の清流と呼ばれる)四万十川のゆったりとした流れ、そこにかかる沈下橋、バックにある緑の山々や畑。緑と言っても濃い淡いさまざまな緑色がありますし、季節によってそれは黄色や赤に変化していきます。自然の美しさに癒されています。
○野草のカフェの12月のプレートメニューはこちら
・チキンのトマトクリーム煮
・カキドオシとフユイチゴのクラッカー
・昔かぶ(在来種)と紅芯大根のマリネハコベ添え
・かぼちゃのコロッケ
・オオバコとカキドオシのケークサレ
・渡辺農園のみかん
・他に野草の天ぷら(ヨモギ、ヨメナ、ミツバ、オオバコ、カキドオシ)も
カキドオシはシソ科の植物。葉をつぶすとシソとバジルを混ぜたような爽やかな香りがします。チーズやトマトと相性が良く、私は肉や魚やパスタと合わせることもあります。フユイチゴは甘酸っぱくて見た目も宝石のようにキラキラして美しい。子供たちでも簡単に探すことができますが、つる(茎)に棘があるので、採集の時は気をつけて下さい。オオバコは多年草で独特の旨味があります。漢字では「大葉子」と書き、地面に葉を広げて生えます。今の時期の葉は小さいですがその分柔らかいものが採れます。
店内には直販コーナーもあり、在来種のカブ、大根、高菜、有機栽培のかぼちゃ、さつまいも、みかんも販売しました。地元の生産者の野菜も積極的にメニューに使っているので、食べて味に納得したお客様が買い物をしてくれます。
12月は高知県全体で記録的な積雪に見舞われ、特産である文旦農家をはじめ多くの生産者が被害を受けました。野草も同じく気象の影響を受けますので、1月はどんな野草でメニューが作れるでしょうか。1月の営業日は1/21(土)22 (日)です。
新年七日には七草粥を食べる習慣が残っています。スーパーでも七草セットが売られますが、古来より日本人は野草に親しみ活用をしてきました。中でもセリ、ナズナ、ハコベラ(ハコベ)は比較的簡単に見つけられるものなので、ぜひみなさんも住まいの周りの自然をよく観察し探してみて下さい。
*セリは必ず根から採集します。白くて細かいヒゲ根であればOK。根が一本で太くタケノコのような節があるものはドクゼリです。ごくたまにしか見ることがありませんが、猛毒なので注意が必要です。ナズナはペンペングサとも呼ばれます。果実がハート形で三味線のバチのように見えることが由来です。ハコベは鳥の餌にしたことからヒヨコグサとも呼ばれます。キュウリのような青臭さがありますが苦味はなく、生でサラダも良いです。
by 齊藤 香織
日本防災植物協会事務局長、日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ上級プロ、株式会社しまんと流域野菜代表取締役
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しまんとフレーバー*ボウサイショクブツカフェ
- 営業時間
- 毎月第三土曜日曜(月2回) 11:00〜17:00
- 店舗アクセス
- 四万十市津蔵渕1199-12 (国道321号線沿い、大文字山の近く)
四万十の新鮮な有機野菜と野草を美味しく食べられるカフェ