生ノ態【コト】

梅雨

山にお菓子の袋を持っていくとパンパンに膨らんだりしますね。気圧が低くなるからです。体も膨らむんです、血管も広がる。低気圧が来ると眠くなるのはそのせいで、血管に張りめぐらされている自律神経が刺激されて眠くなる。血管拡張は副交感神経です。どうにも眠くなる。梅雨時私が安心なのは、緊迫して緩まなかった人が眠ってくれることです。生きるだの死ぬだの言っている人が眠ってくれる。眠れれば緊張がほぐれるんです。

ただこの時期、心臓や呼吸器の弱い人は辛い。酸素も薄くなるんです、低気圧で。高気圧療法の逆の状態ですね。
だいたいそういう人は姿勢も悪い。猫背で腹圧がかかって横隔膜が下がらずに息が入ってこない。肩が前に出て胸がくぼんで、肋骨が上下に動かずジャバラ運動をしない。おまけに湿気で肺のガス交換が効率悪いとなればかなり息苦しいはずです。姿勢を正すこと、深呼吸をして肺の奥まで酸素を取り込むことを意識すると良いです。

しかし、低気圧低酸素でも大丈夫な人がいます。山の人です。赤血球の濃度が濃いので少ない酸素でも大丈夫。オリンピック選手がわざわざ高地トレーニングに行くのはそういう体を手に入れるためです。
ですから梅雨時、積極的に運動することは他の季節よりも体を強靭にします。この時期があるだけで、夏に向けて体が強くなる。そう捉えると梅雨も悪くない、もうちょっと人気があっても良いはずなんです。

とはいえ、雨の日が続けばやっぱりどことなく気分は晴れません。皮膚もベタベタしますし、不快です。かきはじめの汗は特にベタベタしています。ある程度出はじめればサラサラしてくるのですが‥
気温的には汗をかく程でもないのに、動くと体に熱がこもった感じになる。湿度が高いので体から水分が揮発せず、気化熱では体温が下がらない。日照がないので風は冷たく、皮膚は表面だけ冷えている。動けばいつも高い湿度が邪魔をして、ベタベタな汗が皮膚の蓋になっているような不快感が続きます。
やはり、いっそのこと積極的に動いて汗を流すと爽快な時期です。入浴法を工夫するのも良いと思います。夏に向けて、汗腺を仕上げてもおきたい。汗腺は最も退化しやすく、再生もしやすいのです。
私はタオルをお湯で絞って体を拭くことを、この時期多用します。皮膚がベタベタするのを、お風呂よりかなり省エネに解消します。皮膚だけではなく背骨もこすって刺激すると、体のごわついた鈍い感じがスッキリします。サラサラした汗も出やすくなる。

私の場合はすごくケチなので、体を拭き終わったあと、「ああ、手間もお金もちっともかけずに、こんなに爽快になった!」と気分も晴れるのです。

つのだいさお(整体師) 2022.5.15