生ノ物【ヒト】

坂内友美

作りたい時がつくるとき

アトリエ兼住居の大きな一軒家

創作は特別なことではなくて、ご飯食べたり寝たりとおなじ茶飯事。
絵を描いたり、石集めてくっつけたり、革を縫い合わせたり・・・・・・
思いつくままに日常のフィールドを自由に行き来する暮らし。

石やモノを拾うし、集めるし、すなわち捨てられないし、、
この世のものすべてが素材ととらえると、ほんとキリが無くなるんですよね、(わかります)
でもいい素材が見つかったときは閃きや創作意欲が湧いてきます。

日々いろんなものと出会い、対話する暮らし。
そんな感じ方や創作のスタンスは話していても随所で親和性を感じる人です。

肩の力が抜けたリラックスした物腰の柔らかい感じと
創作に対して 「結論、体力だとおもいます、肉体を作り上げてタフにやって行きたい」
と即答で熱く語る力強い感じとのギャップは印象的でした。

本人の中では相反しているわけでもなく自然なことなんでしょう。
ものづくりがはじまると誰にも止められない。

今回話を聞いて、、、
画家だったお祖父さんの作品を引き取ると決めてから広い家を探して素敵な場所を見つけて引っ越して、
大切なサンクチュアリ(お祖父さんのアトリエ)にあったものを自分の生活圏に取り込んで、、
前をむいて進むともちは場所と同時に、こころの基盤も作られたんだなあと感じました。
清々しくも凛とした佇まいにこちらも清涼なエネルギーをもらった気がします。

境界のない創作はとても自由で、見る人を元気にする力がある。
彼女には境界線などはじめから見えていないのかもしれません。

会った時から感じていましたが、達の観の感 が強めです。

ーーーーーーーーーーーーーー by H

「唯一の転機」と語る2011年の東日本大震災を彼女はインドで経験していた。
終末感高めの報道に対し何もできずに焦り 、身の置き場に困る自分と
帰国後に感じた日本全体を覆う閉塞感と平静をよそおうかのようなムードへの違和感。

その前後のタイミングで出会うべくして出会った盟友”ななこ”との運命的な出会い。
その後の10年以上、彼女の活動のベースでありライフワークとして発展していく「村のバザール」は、
翌年2012年からはじまった。

浅草のクラシカルな雑居ビルの一角で毎月開催される宴のバー。
ライブあり、炊き出し多国籍料理あり、創作物の展示や販売あり、のカオス空間。
何かを表現したい、話したい、始めたい、様々な人たちが集った。
彼女は、ななこ と二人でチーママとしてひたむきにキリモリしつづけた。
面白いことだけをやり続けた。

その後、”村バザ”は浅草を飛び出し、思いつくまま流れるままに勢いを増し、
場所を変え品を変え、より村バザらしい村祭り的な規模とカタチに自然に展開していく。

持ち前の器用な手仕事がなせる、絵や雑貨などのものづくりに加え、
あるときは映像つくったり、あるときは”虹橋わたる”として成人漫画家になったり、、?
型にはめる必要なんてない。アートやカルチャーも分類する必要もない。
笑えて共感できてよくなっていくことだったら、なんだって試してみよう

やがて、ななこの拠点であり住居となる「野ざらし荘」も必然的な流れの結果だった。
昭和の雰囲気ある古民家スペースはアトリエでもありギャラリーにもなり、
もちろんライブやワークショップも行われたり、と、
多種多様な人が集う、より村バザらしいコミュニケーションスペースに発展していった。

さて、GWにひさびさに開催された第13回目の「村のバザール」。
海からほど近くもこんもり木々に囲まれた葉山の森山神社は不思議な一体感につつまれていた。
ステージで演奏するミュージシャンも、参加する多くのお客さんも、出店する飲食や雑貨の店舗も、
会場に時折現れ巨大で奇っ怪なヒトガタオブジェクトやパペットを操って練り歩くアーティストたちもスタッフの人たちも、浅草の人たちも湘南の人たちも、誰もが同じ立場で肩の力を抜いて溶け込んでいる。
喧騒ながらもいい気が流れているから心地いい。
そしてホストの二人は、なぜか、より奇抜なドラッグクイーン的なチーママに変身していて、
超目立つけど静かに暖かく、やはりキリモリしている。

は?なに?ここどこ?

もはやそれは世界のどこかの村の祭りでしかない。村のバザールでしかない。
この日無料配布していた10周年記念の村バザ新聞の気取らないスタンス、
壮大なボリューム、情報量、人種のるつぼぶり、、、納得感。
2012年以降にやってきたことの集大成ともいえるのかもしれない。
女性ならではの、たおやかなでしなやかで止められない包みこんじゃう力。

村バザは、彼女らは、彼女はどこに向かうのだろうか?
注目せざるを得ません・・・。

ーーーーーーーーーーーーーー by G

NUN podcast #8
作りたい時がつくるとき
ゲスト:坂内友美

【前編 60:00】

【後編 50:00】

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坂内友美

油絵画家の祖父とクリエーターの両親の元、物心ついた時から絵を描くこと、ものを作ることを日常の一部として育つ。高校、大学と美術学校へと進み、民芸雑貨屋のデザイナーを勤めた後、フリーランスの作家として活動。絵、木、金属、革、布、廃材・・・。素材や媒体に捕らわれず、ものがたりをもったものから新たなものがたりを生む。ユニット「村のバザール」ではナナコと無境界で活動。ときたま成人漫画家、虹橋わたるになることがある。成人漫画似顔絵はいつも好評。